さて、JR東海は2022年の12月16日にダイヤ改正を発表してそろそろ1ヶ月たちます。遅くなりましたが、利用状況とともに2023年の在来線ダイヤ改正を深読みしていきます。

1.JR東海とは
JR東海とはその名の通り「東海地方」をメインに事業を展開する鉄道会社です。鉄道事業から不動産事業など様々な業種を手掛けています。メインは鉄道事業で営業係数が50を切るとされている東海道新幹線も運営している会社です。国鉄民営化の際、他のJR各社と同時に設立されました。また、利益がJR各社の中でもトップクラスの会社という側面もあるんですよ。下の表を見てもらうと分かる通り他社とは比較にならないほど利益率が高いです。
下の表はJR主要4社の比較表(令和元年) 単位:円
JR東日本 | 売上高:2兆9446.4億 | 経常利益:3395.5億 |
JR東海 | 売上高:4713.5億 | 経常利益:1886.9億 |
JR西日本 | 売上高:1兆5082億 | 経常利益:1483億 |
JR九州 | 売上高:4,326億 | 経常利益:506億 |
2.JR東海の在来線が抱える問題
JR東海は2023年1月現在で12の在来線を保有しています。そのうち、輸送密度が5000を超える路線は東海道本線と中央線と関西本線の3路線のみです。通常は輸送密度が5000を下回ると路線の黒字運営は難しくなります。この現状はJR東海の半数の在来線の運営が厳しい状況にあることを示しています。ですが、輸送密度を2012年と比較するとほとんどの路線で上がっており、利用者が増えていることを示しています。ですが、新型コロナウイルスの影響で鉄道の利用者は減っており、厳しい状況に直面しています。また、名松線の令和元年度の推定輸送密度は104であり、これは12月にJR東日本が廃止を視野に入れて検討を開始した津軽線の一部区間の営業係数”90前後”に近い数値です。また国鉄時代に廃止基準とされた数値輸送密度2000以下の数値を下回る路線を4つ保有しており、これは全体の保有数の1/3に当たります。
3.今回在来線のダイヤ改正のポイント
1.下呂~高山間の早朝と深夜の普通列車運転取りやめ
下呂から高山間は地元住民の方の利用は少なく、高山は古い街並み、下呂は下呂温泉があるので観光客が多く見受けられます。観光客にはあまり需要がない朝と深夜の時間帯を廃止し昼間の運用を増やしたほうが”理にかなっている”と考えます。
2.昼時間帯に普通列車の新設で利用しやすいダイヤに
現行ダイヤ上りは4時間半以上、下りは5時間半以上普通列車がない昼間の時間帯に普通列車を1本新設して、間隔を2時間半程度にしたので、特急からの乗り換えも便利になります。
3.伊勢市発4時45分発の列車の始発駅変更、伊勢市初の始発を5時22分に変更
今までは高山本線のお話でしたが、参宮線に移ります。参宮線は当サイト輸送密度推定646です。前述の高山本線より数値が悪い路線になっています。実は伊勢市~松坂間は近鉄とJR線の両方で行けますが、近鉄線は優等種別などが運行されていて使い勝手がいいのでほとんどの利用者は近鉄を利用します。その関係も参宮線の数値が悪い一つの理由です。
さて、本題に入りますがおそらく削減する理由は早朝の伊勢市~多気の利用者が見込めないことが原因だと考えられます。これらに関する問題は松坂市のほうが商業など街自体が伊勢市より発展していることなどがあげられます。
さいごに
JR東海は新幹線で稼いでいるので、当面の間災害などがない限り在来線が廃止になることとはないと思います。余談ですが 特急「ひだ」の車両がすべてHC85系に置き換わるので混雑が激しくなる前に早めのご乗車をおすすめします!