日本国内には、さまざまな鉄道路線が存在し、様々な線路幅(軌間)があります。線路幅の違いは、時代の背景なども関係します。この記事では、日本の鉄道の線路幅の違いとその背景や事例も交えて紹介します。
1.鉄道の線路幅とは
鉄道車両の車輪が走る軌道の幅を指します。一般的には、世界的に広く採用されている標準軌(1435mm)が一般的ですが、日本では標準軌に加えて、狭軌(1067mm)や狭軌(1372mm)といった色々な線路幅が存在します。
線路幅の違いは、時代の背景なども関係します。
2.線路幅の種類や違い
1.標準軌(1435mm)

標準軌は、日本の新幹線や京成、京急、阪神などで主に使用されている線路幅です。日本の鉄道は、戦後の復興期から高速化を追求し、交通量の増加や移動手段の構築などに対応する必要がありました。そのため、国際的な標準軌を採用し、新幹線などの高速鉄道網の構築に貢献しました。
2.狭軌(1372mm)

狭軌(1372mm)は、一部の京王線や一部の東急線、都営新宿線、都電荒川線などの鉄道路線で使用されています。「馬車軌間」とも呼ばれています1372mm幅の線路は、中途半端なこともあり、世界的に採用例が少なく、珍しい線路幅になっています。
都営新宿線は、京王と直通運転をするため、当時京王電鉄側に標準軌への改軌をお願いした事例もある。結局は改軌せずに、都営新宿線の建設が、線路幅1372mmで行われました。
3.狭軌(1067mm)

狭軌(1067mm)は、日本国内で最も採用例が多い線路幅です。主にJRの在来線や地方鉄道、一部の大手私鉄などの路線で使用されています。戦前や戦後の日本では線路幅を狭くすることで建設費を抑えたり、鉄道路線の敷設を容易にし、急速に路線網が拡大しました。また、狭軌を走る列車は製造コストを標準軌より抑えることが出来るのも広く普及した理由でもあります。
4.狭軌(762 mm)

狭軌(762mm)は、現在日本国内で採用されている旅客鉄道路線の線路幅で最も幅が短い線路です。四日市あすなろう鉄道や三岐鉄道北勢線などの路線に使用されています。輸送量が少ない地域や、炭鉱などのスペースが限られた場所で主に活躍します。762mmは建設が容易になり山奥などの建設が困難な場所でも使用されています。
旅客を運ぶのより、主に炭鉱や貨物路線向きの線路幅です。なぜ旅客を運ぶのに向いていないのかと言いますと、運行速度の問題や輸送量の問題があります。まず運行速度ですが、線路幅が狭いので速い速度でカーブを曲がることが出来ません。そのため、速達性という鉄道の利点が生かせません。輸送量の問題ですが、線路幅の関係で車両も小さくなり、1両あたりで運べる輸送量が少なくなります。以上の理由で鉄道の鉄道の利点が生かせないことが、旅客輸送に向いていない理由です。
5.主要路線の線路幅を比較
路線 | 線路幅 |
---|---|
新幹線・横浜市営地下鉄 | 標準軌(1435mm) |
新幹線が走行しないJR在来線 | 狭軌 (1067mm) |
世田谷線除く東急電鉄 | 狭軌 (1067mm) |
都電荒川線・井の頭線除く京王 | 狭軌 (1372mm) |
小田急電鉄・相模鉄道 | 狭軌 (1067mm) |
名鉄・南海・西武・東武 | 狭軌 (1067mm) |
阪急・阪神・山陽電気 | 標準軌(1435mm) |
都営地下鉄浅草線・大江戸線 | 標準軌(1435mm) |
近鉄南大阪線・道明寺線・ 長野線・御所線・吉野線 | 狭軌 (1435mm) |
上記を除く近鉄線 | 標準軌(1435mm) |
貝塚線除く西日本鉄道線 | 狭軌 (1067mm) |
この記事の要点まとめ
標準軌は、日本の新幹線や一部の大手私鉄で主に使用されており、高速鉄道網の構築や大量の乗客を輸送するために採用されました。
狭軌(1372mm)は、一部の路線で使用されており、特に馬車軌間とも呼ばれるような特異な線路幅です。都営新宿線など一部の路線で使用されています。
狭軌(1067mm)は、日本国内で最も一般的な線路幅であり、JRの在来線や地方鉄道などで使用されています。線路幅を狭くすることで建設費を抑え、急速に路線網を拡大することができました。
狭軌(762mm)は、最も狭い線路幅であり、輸送量が少ない地域や炭鉱など限られたスペースで使用されています。
線路幅の違いは、建設費やスペースの制約、地域の交通需要などの要素によって決定されています。それぞれの線路幅には利点や制約がありますが、適切な線路幅を選定することで、効率的な鉄道網の構築や輸送の実現が可能になります。